マヨネーズはどこの家庭でも必ずといっていいほど冷蔵庫に入っている調味料です。平成30年の全国のマヨネーズ(類含む)の消費量は41万トンで、ひとりあたりだとなんと約3.5kgというとんでもない消費量の調味料でもあります。野菜サラダにはもちろん、サンドイッチ、焼きそば、お好み焼き、ゆで卵、明太子、鮭、エビフライ、揚げ物などなどマヨネーズと相性のいい食べ物は挙げたらきりがない位です。
でも、気になるのがそのカロリー。
マヨネーズは比較的カロリーが高い調味料でもあります。
そのため、最近ではカロリーがカットされたマヨネーズを各社が販売しています。キユーピーの「カロリーハーフ」は誰もが知っていますね。
これで安心してマヨネーズを食べられる!と安心した方、ちょっと待ってください。
カロリーがカットされたマヨネーズはヘルシーどころか健康に悪い、というウワサがあるのをご存じですか?
今回はそんなウワサの真偽について、調べてみました。
この記事の目次
驚きの事実、カロリーハーフのマヨネーズはマヨネーズではない?!
カロリーカットのマヨネーズが体に悪いのか良いのかの前に、まずはマヨネーズ入門です。カロリーカットのマヨネーズは、「マヨネーズ」ではありません。なので「カロリーカットのマヨネーズ」というものは実は存在しません。
え?!どういうこと?スーパーへ行けば、マヨネーズの陳列棚に並んでるけど?と思いますよね。
確かにそうなのですが、カロリーがカットされたマヨネーズは、“マヨネーズ”という名称を名乗ることができません。商品を手に取って、袋の裏面に記載されている原材料などが書かれている欄をチェックしてみてください。
例えば、キユーピーの「カロリーハーフ」は、名称の欄に「サラダクリーミードレッシング」と表記されています。また、味の素から販売されている「ピュアセレクトコクうま65%カロリーカット」の名称欄には「半固体状ドレッシング」と記載されおり、マヨネーズでもなくサラダクリーミードレッシングにも分類されないものとなっています。日清の「マヨドレ」も、「半固体状ドレッシング」という名称になっています。
そもそもマヨネーズとは一体何を指して言うのでしょうか?
日本農林規格(JAS)ではマヨネーズの規格をこう定めています。
「半固体状ドレッシングのうち、卵黄または全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵黄、卵白、たん白加水分解物、食塩、砂糖類、はちみつ、香辛料、調味料(アミノ酸等)および、香辛料抽出物以外の原材料を使用していないものであって、原材料に占める食用植物油脂の重量の割合が65%以上のものをいう」とあります。
つまり、マヨネーズという名称を名乗るためには、
○卵黄もしくは全卵を使うこと
○植物油脂が全体の65%以上あること
○食酢もしくは柑橘類の果汁を使用すること
などの規格をクリアしていなければいけません。
一方でサラダクリーミードレッシング(キユーピーの「カロリーハーフ」はこちらに分類される)の定義は、
「半固体状ドレッシングのうち、卵黄またはでん粉または糊料を使用し、かつ必須原材料、卵黄、卵白、でん粉(加工でん粉を含む)、たん白加水分解物、食塩、砂糖類、はちみつ、香辛料、乳化剤、糊料、調味料(アミノ酸等)、酸味料、着色料および香辛料抽出物以外の原材料を使用していないものであって、原材料に占める食用植物油脂の重量の割合が10%以上50%未満のものをいう」と定められています。
正真正銘のマヨネーズと比較すると、サラダクリーミードレッシングには使用してもよい原料や添加物が圧倒的に増えていますよね。実際カロリーをカットした商品には乳化剤、糊料、着色料、酸味料などが使われていす。
さらに興味深いのが、「植物油脂の割合が10%以上50%未満であること」という一文です。
ここから「油分の割合を減らすことで、カロリーを大幅に減らす」という“からくり”がみえてきます。そして、油分カットを実現するために添加物が必要になるのです。
マヨネーズとカロリーハーフのマヨネーズ、原材料にはどんな違いが?!
では、実際に原材料をチェックしてマヨネーズとカロリーがカットされたマヨネーズの違いを比較してみましょう。
キユーピー
マヨネーズ:食用植物油脂(大豆を含む)、卵黄、醸造酢(りんごを含む)、食塩、調味料(アミノ酸)、香辛料、香辛料抽出物
カロリーハーフ:食用植物油脂(大豆を含む)、卵、醸造酢(りんごを含む)、食塩、砂糖類(砂糖、水あめ)、増粘多糖類、調味料(アミノ酸)、香辛料、たん白加水分解物、香辛料抽出物
味の素
ピュアセレクトマヨネーズ:食用植物油脂(菜種油、コーン油、大豆油)、卵、糖類(水あめ、砂糖)、醸造酢(醸造酢、ぶどう酢、穀物酢、米酢)、食塩、香辛料、濃縮レモン果汁、調味料(アミノ酸)
ピュアセレクトコクうま65%カロリーカット:食用植物油脂(菜種油、コーン油)、食塩、卵黄(卵を含む)、醸造酢(醸造酢、穀物酢、ぶどう酢)、砂糖、濃縮レモン果汁、たん白加水分解物(大豆を含む)、グリシン、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、増粘剤(ペクチン)、カロテン色素、香辛料抽出物
日清
マヨドレ: 食用植物油脂(菜種油、大豆油)、醸造酢、還元水あめ、食塩、加工でん粉、濃縮洋梨果汁、増粘剤(キサンタンガム)、調味料(アミノ酸)、濃縮にんじん汁、野菜エキス、酵母エキス、カロテン色素、香辛料
正真正銘のマヨネーズの主な原材料は、食用油、卵、酢、食塩の4つの材料だけです。製品ごとの違いは、それぞれの分量、卵、油の種類、レモン果汁が加えてある、香辛料が加えられている、などの細かい部分だけです。
しかし、本物のマヨネーズは油を多く使うため、必然的にカロリーが高くなります。単に油を少なくしただけだと、カロリーは減りますが、味や風味の面で物足りない感じになってしまいます。そのため、油の代わりに砂糖や水あめ、さらには増粘多糖類、たん白加水分解物を添加して、コクやとろみ、旨みを補うというわけです。
キユーピーの「カロリーハーフ」や味の素の「ピュアセレクトコクうま65%カロリーカット」の原材料を見ると、食品添加物が多く含まれていることがわかりますね。日清の「マヨドレ」はコレステロールゼロ、卵を使っていないことが売りですが、その分、他の材料が加えられています。
栄養成分からわかるカロリーハーフのマヨネーズの意外な落とし穴
では、それぞれのマヨネーズの栄養成分の比較をしてみましょう。栄養成分からも垣間見ることのできる、意外な事実を知っておきましょう。
キユーピー
マヨネーズ(大さじ1杯あたり15gあたり):エネルギー100kcal、タンパク質0.4g、脂質11.2g、炭水化物0.1g、ナトリウム105mg、食塩相当量0.3g
カロリーハーフ:エネルギー50kcal、タンパク質0.4g、脂質5.1g、炭水化物0.5g、ナトリウム150mg、食塩相当量0.4g
味の素
ピュアセレクトマヨネーズ(大さじ1杯15gあたり):エネルギー110kcal、タンパク質0.21g、脂質11g、炭水化物0.54g、食塩相当量0.27g
ピュアセレクトコクうま65%カロリーカット:エネルギー36kcal、タンパク質0.48g、脂質3.6g、炭水化物0.47g、食塩相当量0.69g
日清
マヨドレ:エネルギー81kcal、タンパク質0g、脂質8.6g、炭水化物1.0g、ナトリウム150mg、コレステロール0mg、食塩相当量0.4g
これらの栄養成分を比較してどんなことが分かるでしょうか?
キューピーの「カロリーハーフ」のマヨネーズは、通常のマヨネーズのカロリーの半分ですが、炭水化物は倍以上です。炭水化物が増えている理由は、砂糖や水あめが使用されているからです。
味の素の「ピュアセレクトコクうま65%カロリーカット」をみると、食塩相当量が倍以上に増えています。
日清の「マヨドレ」は、日本食品標準成分表のマヨネーズに比べてカロリーを約20%カットしているそうですが、脂質や炭水化物の量がかなり高くなっています。
カロリーハーフのマヨネーズ、カロリーは減っても炭水化物や糖質、食塩はアップしていることがあるので、本当に健康に良いのか?という疑問が残りますよね。“カロリーは半分、でも炭水化物や食塩は倍以上、ついでに脂質や食品添加物も”という事実。これをどうとらえるかは使う人次第ですが、知っておいて損はないかもしれませんね。
自分で簡単に作ることもできます。思わぬ効果も!
ちなみに、マヨネーズは自分で簡単に作ることもできます。市販のマヨネーズの添加物が気になったり、カロリーが気になる方は自分で作るのもおすすめです。自分で作ると、油の使用量が想像以上なので、マヨネーズ自体を控えたくなるという効果もあるかもしれません笑。
【材料】
- 卵黄 1個
- ビネガー 小さじ2杯
- 塩 小さじ1/4杯
- オリーブオイル 200cc
1、水気のないきれいなボウルに卵黄をいれます。
2、ビネガー、塩、マスタードを加えて、泡だて器でよく混ぜます。
3、少しずつ、オリーブオイルを加えていき、さらに混ぜ合わせて完成です。
手作りマヨネーズを失敗させないコツがいくつかあります。参考にしてみてくださいね。
- 卵は新鮮なものを使ってください。必ず、冷蔵庫から出しておいて室温に戻しておきます。
- オイルはサラダ油、グレープシードオイル、紅花油でもOKです。ただ、エクストラバージンオイルはNGです。
- ビネガーは、米酢、リンゴ酢、白ワインビネガーがおすすめです。ビネガーも室温に戻しておいてください。ビネガーの代わりにレモン果汁でもOK、その際は大さじ1杯です。
- マスタードを使う目的は油を包み込んで乳化を安定させるためです。
- マヨネーズを作っている際、必ず気を付けるべき重要ポイントはオイルを最後に加える、という点です。初めに入れてしまうとビネガーと混ざり合わず分離してしまうので、まず卵黄とビネガーを先にしっかり混ぜ合わせて乳化させましょう。そしてオイルを、ゆっくりと糸を垂らすように加えていきます。混ぜる手間を省きたいなら、フードプロセッサーやブレンダー、ハンドミキサーを使うとあっという間に出来上がりますよ。
※もし、マヨネーズを作っている途中でしっかり混ざらなくてまとまらない場合、失敗したと思って捨てたりしないで!冷蔵庫に入れて一晩寝かせましょう。翌日、卵黄を加えて再度混ぜれば、復活します。
終わりに・・・
ということで、カロリーカットのマヨネーズの特徴について説明してきました。「健康に悪い」というウワサの原因は、カロリーは低いが他は高い場合があったり、食品添加物がマヨネーズより多い、ということでした。しかし、これは一概に悪いとは言い切れないので、どちらを選ぶかは結局は消費者自身になります。これからは、自分なりの回答をもって選びたいですね。