わたしたちが毎日のように口にしている、かつおぶし。
食卓にあたりまえのように並んでいますが、実はすごいパワーが隠されていることを知っていましたか?豊富な栄養成分が含まれているにもかかわらず、低カロリーで、さらにアミノ酸のはたらきでうれしい効能も期待できてしまうのです。
そこで、かつおぶしの栄養成分と効能についてくわしく解説していきます。
この記事の目次
かつおぶしの栄養成分
かつおぶしはとても栄養価の高い食品です。たんぱく質を主成分に、各種ミネラルやビタミン、必須アミノ酸といった私たちが健康的な食生活を送るうえで欠かすことのできない栄養成分が豊富に含まれています。
具体的な栄養表示
まずは、具体的な商品の栄養表示に基づいて解説していきましょう。
削りぶしの売り上げトップシェアを誇るヤマキの代表的商品である「徳一番 花かつお」の栄養表示は下記のようになっています。
エネルギー340kcal
たんぱく質75~82g
脂質0.5~5.5g
炭水化物0.1~2.6g
ナトリウム130~790mg
食塩相当量0.3~2.0g
(100g当たり、水分15%換算値)
次に、東日本で高いシェアを誇る最古参メーカーであるにんべんの代表的商品「花かつお」ではどうでしょうか。
エネルギー351kcal
たんぱく質75.7g
脂質3.2g
炭水化物0.4g
ナトリウム480mg
食塩相当量1.2g
(100g当たり)
これらのデータから、かつおぶしの75%以上はたんぱく質でできており、一方で脂質は5%以下と非常に低いことがわかります。さらに、一食(2.5g)あたりのカロリーは約9kcalとなっています。つまり、かつおぶしには「高たんぱく、低脂肪、低カロリー」の三拍子がそろっているのです。
ミネラルやビタミン
続いて、ミネラルやビタミンについて見てみましょう。
まず、ミネラルについては、下記のようになっています。
ナトリウム130mg
カリウム940mg
カルシウム28mg
マグネシウム70mg
リン790mg
鉄5.5mg
亜鉛2.8mg
銅0.27mg
カリウムには余計なナトリウムを体外に排出する作用があるので高血圧対策になりますし、リンは丈夫な骨や歯を保つために欠かせません。
続いて、ビタミンについては下記です。
ビタミンD 6.0μg
ビタミンE 1.8mg
ビタミンB1 0.55mg
ビタミンB2 0.35mg
ナイアシン45.0mg
ビタミンB6 0.53mg
ビタミンB12 14.8μg
葉酸11μg
パントテン酸0.82μg
となっています。
驚くべきことにこれらの栄養成分は同量の生のかつおと比べると約2-3倍です。
加工の過程でかつおを乾燥させることで栄養成分が凝縮するためと考えられます。(ミネラル・ビタミンともに可食部100gあたり、五訂増補日本食品標準成分表)
必須アミノ酸
最後に、必須アミノ酸について見ていきましょう。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、そのうち体内で合成することのできない9種類を必須アミノ酸といい、これらは食べ物からしか摂取できません。
実はかつおぶしはこれらの必須アミノ酸9種類すべてを含む数少ない食品のひとつなのです。そして、かつおぶし10gには一日に必要な必須アミノ酸の3分の1が含まれているのです。
かつおぶし4つの効能
かつおぶしは単に栄養価が高いだけではありません。
栄養バランスにすぐれていることでさまざまな効能を持っているのです。
そのなかでも注目すべき4つの効能について解説していきます。
1.高たんぱく低脂肪、アミノ酸は筋肉づくりに欠かせない
これまでに見てきたように、かつおぶしは高たんぱく低脂肪ですが、実はこれはアスリートが筋肉を鍛える際の王道であることをご存知ですか?
筋肉をつけるにはたんぱく質が欠かせませんが、脂肪とのバランスを取らないと太ってしまうおそれがあります。そこで、たんぱく質と脂肪のバランスが取れたかつおぶしが役に立つのです。
さらに、かつおぶしには持久系アミノ酸といわれる「バリン、ロイシン、イソロイシン」の必須アミノ酸が含まれるため、筋肉のエネルギー源となります。
2.バランスのよい栄養と減塩効果で妊婦さんにもおすすめ
かつおぶしは妊婦さんにもおすすめできます。
まず、妊婦さんが必要な栄養素であるたんぱく質、葉酸、ビタミンD、鉄分などがバランスよく含まれています。
さらに、風味豊かなだしを料理に使うことで、気になる塩分摂取量も抑えられるばかりか、カリウムが豊富に含まれているので既に摂取した余分なナトリウムを体外に排出してくれる作用もあります。
カリウムは、妊娠中に気になるむくみ対策にも有効です。
3.必須アミノ酸はストレス解消や不眠症にも効果あり?!
実は私たちがストレスを受けると、体内の代謝が高まって、ビタミンとたんぱく質を消耗します。
そしてやがては体力をも消耗してしまうのです。
そこで、ストレスを感じ始めたら、たんぱく質を豊富に含む食品を積極的に食事に取り入れましょう。かつおぶしならば気軽に食事に追加できます。
さらに、かつおぶしは不眠症にも有効だと言われています。
不眠症の原因のひとつに脳内のセロトニンという物質の減少が挙げられますが、そのセロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」とビタミンB6はともにかつおぶしに含まれているのです。
4.意外と知られていないかつおぶしの美肌効果!
かつおぶしと美肌はイメージが違いすぎて結びつかない方も多いと思いますが、実は密接な関係があるのです。
かつおぶしのうまみ成分でもある必須アミノ酸「イノシン酸」は基礎代謝の向上や細胞の活性化にとても効果的だと言われています。
さらに、「若返りビタミン」とも呼ばれるビタミンEをはじめとして、さまざまなミネラル・ビタミンをバランスよく含むかつおぶしの抗酸化パワーは見逃せません。
食べ過ぎても大丈夫?ダイエット効果は?
さて、ここまでかつおぶしのすぐれた栄養成分や効能に注目してきましたが、かつおぶしの食べ過ぎによるデメリットはないのでしょうか?
実はEUをはじめとして、世界のいくつかの国々ではかつおぶしの輸入が禁止されています。
その理由は、発がん性の高い「ベンゾピレン」と呼ばれる化学物質が規制値を超えるとされているためです。
しかし、ベンゾピレンはすべてのかつおぶしに含まれている訳ではありません。
かつおぶしを燻製する過程で、燻製に使われる木材に由来して発生することが明らかになっており、燻製の燃料や方法を工夫することでベンゾピレンの発生を抑えられることが分かっています。
また、現状においても、日本国内ではベンゾピレンに関する基準値はなく、国連食糧農業機関(FAO)により、通常の食生活における健康への懸念は小さいということが確認されています。
これらのことからも、かつおぶしを多少食べ過ぎたからと言って、過剰に心配をする必要はないでしょう。
一方で、かつおぶしをたくさん食べることのメリットのひとつに、ダイエット効果があります。
その秘密は、かつおぶしに含まれる必須アミノ酸のうち、「ヒスチジン」と呼ばれるアミノ酸に隠されています。
ヒスチジンを摂取すると、脳内でヒスタミンに変化します。近年の研究の結果、このヒスタミンが満腹中枢のひとつを刺激することで満腹感を得られることがわかったのです。このヒスチジンは赤身の魚に多く含まれていますが、なかでもかつおのヒスチジン含有量はトップクラスであり、それを乾燥・凝縮したかつおぶしではさらに効果が期待できます。
かつおぶしのパワーを取り入れよう
幼いころから慣れ親しんでいるかつおぶしですが、意外な栄養成分や効能が見つかったのではないでしょうか?
筋肉づくりに、高血圧対策、ストレス解消や不眠症、果ては美肌やダイエットまで、かつおぶしの栄養成分にはさまざまな効能があるのです。
いつもの食事にプラスできるのもうれしいところ。ぜひかつおぶしを活用して、美味しく健康的な生活を目指してみてはいかがでしょうか。