化学調味料?「味覇(ウェイパー)」は危険・安全!?万能調味料の秘密に迫る!
赤いパッケージが印象的な中華調味料「味覇(ウェイパー)」。本格的な中華の味が家庭で簡単に出せるのが人気の秘密。炒め物にスープにと万能に使えるため、常備しているご家庭も多いかもしれません。
しかしウェイパーはいわゆる化学調味料なので、実は危険ではないのか?という声もあります。実際のところどうなのでしょう?
この記事の目次
万能調味料として人気のウェイパーとは?
味覇という名前や、見た目の雰囲気から中国の製品と思っている人も多いかもしれませんが、実は国産。兵庫県神戸市にある廣記商行という会社が販売しています。中国語で「調味料(味)の王様(覇)になるように」という願いを込めて、この名前がつけられたということ。
ウェイパーは鶏ガラ・豚骨をベースに、野菜のエキス・スパイス・調味料を配合した、半練りタイプの調味料。本格的な中華の風味がこれひとつで手軽に出せるのが特徴で、スープにも溶かしやすく、水に溶けば煮物や炒め物にも使えます。粉末状の中華風だしの素と違い、缶のまま長期間保存がきくのもポイントです。
味覇の中身が変わった!?
そんなウェイパーですが、じつは最近中身が変わったところ。
そもそもウエイパーは1961年、京都市の創味食品から「シャンタンDX」という名前で販売されたのが始まりでした。1981年に廣記商行が同じ中身で「味覇」の名前で売りだしてから有名になったため、その事実を知らない人も多いのです。
しかし2015年4月、廣記商行の「味覇」は、見た目は変わらないものの強いうまみとパンチ力を重視した味にリニューアルしました。そしてこれまでのウェイパーの味は、創味食品の「創味シャンタンDX」にそのまま引き継がれることとなったのです。創味シャンタンDXのデザインは白をベースに赤色と中華風のイラストがついており、どこかウェイパーを意識したパッケージデザインのように感じられます。
どうしても今までのウェイパーの味がいい!という方は、創味シャンタンを使いましょう。
ちなみに店頭などに残っている在庫で、新商品か旧商品か見分ける方法があります。製造者欄が「廣記商行SK」となっていれば旧商品、「廣記商行KS」となっていれば新商品です。
ウェイパーの歴史
ウェイパーはもともと業務用として発売された商品です。そのため、当時売られていたサイズは20kgの缶のみでした。しかしその後一般用に普及したことに合わせて、250g・500g・1kgの3つのサイズの缶が次々と登場。使いやすいサイズから選べるうえ、スーパーでも気軽に買えるようになりました。
最近ではチューブタイプも新たに発売され、やわらかくて使いやすいと人気です。調理中にも片手で使えるため便利なのですが、原材料と製法が缶タイプとは異なるため、若干風味が違う点に注意しましょう。
ウェイパーは500gの商品で約1300円前後と、1缶あたりの値段を見ると高価なように思えます。しかし少量でしっかりと味がつくので、むしろコスパがいいという意見もあります。
ウェイパーの何が悪いといわれているの?
このように便利に使えるウェイパーですが、一方では危険だという声があるのです。どんな部分が問題点とされるのでしょうか。
食塩の問題
まずはウェイパーの原材料を見てみましょう。なにか危ないものが入っているのでしょうか?
【原材料】
食塩・肉エキス・野菜エキス・動植物油脂・砂糖・乳糖・小麦粉・香辛料(ホワイトペッパー)・調味料(アミノ酸)
原材料は使われている割合が多いものから表記されるというルールがありますので、もっとも多く使われている材料は食塩ということになります。はっきりとした割合はわかりませんが、原材料の中で一番多いのは事実です。
【栄養素】
栄養成分(100gあたり)
エネルギー:405kcal
タンパク質:10.3g
脂質:32.1g
炭水化物:18.6g
ナトリウム:14.9g
糖質:18.6g
塩分相当量:37.8g
こうして見ると、エネルギーと食塩の量が多めのようです。1回のチャーハンに使う量を小さじ1(5g)とすると、1.5gから1.9g相当の塩分摂取量になります。2015年現在の成人男性の1日の食塩摂取量目標は8g、女性では7gとなっており、これだけで1日の摂取量の3分の1から4分の1にもなってしまいます。塩分をとりすぎると、高血圧や生活習慣病になるリスクが高まり、健康に害を及ぼします。
このように、見た目にはわかりづらいですが、かなりの塩分を含んでいるため悪いイメージがあるようです。でも、塩分が多いものは他にも沢山あります。一概に悪いとは言えないように思いますね。
化学調味料であるということ
原材料に「調味料(アミノ酸)」とあります。これはいわゆる化学調味料のこと。現在ではうまみ調味料とも呼ばれています。家庭でよく使われている「味の素」も同じうまみ調味料です。
化学調味料はうまみ成分を凝縮したもの。うまみ成分には昆布に含まれるグルタミン酸、煮干しや鰹節に含まれるイノシン酸、干ししいたけに含まれるグアニル酸などがあり、天然のだしにも含まれています。天然か人口かの違いだけで、成分に違いはありません。
「化学調味料=危険だ」と考える人が多いですが、化学調味料がすべて体に悪く摂取してはいけないものとは限りません。
どんなものでも過剰摂取すると体に害をおよぼすのですから、これも一概に悪いとは言えないようですね。
1日に何十グラムも摂取しない限り、適量なら問題なく使えるということです。気になるようでしたらウェイパーを隠し味程度に使い、ほかの調味料と組み合わせるという方法を試すのもいいかもしれませんね。
化学調味料の過剰摂取で味覚がおかしくなるという例も報告されていますが、ウェイパーのみの過剰摂取でそこまでの状態になるとは考えにくいでしょう。もし添加物たっぷりのスナック菓子やインスタント食品を普段から食べている場合は、ウェイパー以前にその習慣をあらためるべきでしょう。
化学調味料にはこちらでも詳しく書いていますので、もっと詳しく知りたい方はこちらも見てみてください。
ウェイパーで定番料理から意外なものまで美味しく食べられる!
ウェイパーは中華風だしの素ですが、中華料理はもちろん、洋風や和風の料理にも使うことができるんです。実際に公式ホームページでもさまざまなレシピが紹介されています。代表的なものやおすすめのレシピをご紹介しましょう。
・中華風スープに
もっともお手軽な方法は、スープに使うことです。いつもの味噌汁に飽きたときは、冷蔵庫で余っている野菜を何でもお湯で煮込み、ウェイパーを入れれば簡単に中華風スープのできあがりです。ゴマやごま油を加えるとさらに中華らしさが出ますよ。ほかにもわかめ、卵などの具もおすすめです。
・無限ピーマン・無限にんじんに
SNSで人気となった「無限」レシピにも使えます。ピーマンやにんじんを細切りにし、シーチキン・ウエイパー・ごま油・塩と共に耐熱容器に入れて電子レンジで3分前後加熱して混ぜるだけ。手軽に副菜が1品作れてしまいます。無限に食べ続けられる美味しさに、ハマる人が続出のレシピです。
・やみつききゅうりに
副菜でもう1品ご紹介。きゅうりは乱切りや細切りなど食べやすいサイズに切ります。めん棒などで叩いてからちぎると味がしみこみやすいです。塩少々でもんで5分ほどおいて水分が出たら、水でとかしたウェイパー、ごま油、にんにくチューブ少々で和えます。唐辛子を使えばピリ辛に。10分ほどおけばより味がしみておいしいですよ。
・チャーハンに
ウェイパーと好相性なのが、中華の定番、チャーハンに使う方法です。ペースト状のままでは使えないので、ごく少量のお湯に溶かし、ご飯と絡めながら炒めます。冷蔵庫でカチカチになったものを砕きながら入れるという人もいます。1人分で大さじ1程度が目安です。ウェイパーを使うだけで、いつものチャーハンがぐっと本格的な味になります。
・カレーライス、ハンバーグに
公式サイトでも推奨されている方法。隠し味としてウェイパーを使うと、より豊かなな味わいを出すことができるのです。カレールウ1箱に対して小さじ1〜2、ハンバーグは2人前に対して小さじ1.5程度で使ってみてください。
・おでんに
和風の料理なのに合うの? と思った方、騙されたと思って試してみてください。ウェイパーを使うとコクが増し、味に深みを出すことができます。ちなみに、ウェイパーを使ったおでんはコンビニのおでんのスープに非常に近い味です。
基本は昆布、鰹節などでしっかりダシを効かせたところに、コクを足すため隠し味程度に使います。ウェイパーは味が濃いので、少量ずつ入れて味を調整してください。きちんとダシを効かせることで、ウェイパーを入れすぎなくてもしっかりと風味を出すことができますよ。
おでんはウェイパーのほかにもコンソメやオイスターソース、鶏ガラスープなどでコクを足す人もいますから、案外自然な使い方なのです。
・インスタントラーメンを本格味に
インスタントラーメンについてくる粉末スープを半量にし、ウェイパーを加えるという方法です。ウェイパーはもともと鶏ガラと豚骨がベースですので、よりダシの旨みとコクが加わった奥深い味に仕上がります。ぜひ試してみてください。
2016年8月には、セブン-イレブンからその名も「ウェイパー味中華風野菜タンメン」というインスタントラーメンが発売されました。ウェイパーのデザインをほぼそのまま生かしたデザインなので、店頭でも目立ちそう。ツウな人はスープにさらにウェイパーを足して楽しむんだとか。
ウェイパー味のポテトチップスがある!?
ウェイパー味の商品はインスタントラーメンだけではありません。2014年にはカルビーから「ポテトチップス 味覇(ウェイパァー)味」が期間限定で販売されています(現在は製造終了)。ウェイパーが幅広い層に愛されていることがわかりますね。
コラボ商品だということが一目でわかる、赤いパッケージに大きな「味覇」の文字が特徴的。ただし、材料にウェイパーを使用しているわけではなく、あくまで「監修のもと、ウェイパーの味を再現」した商品だそう。
ウェイパーと同じように使える万能調味料いろいろ
ウェイパーは中華風調味料のさきがけですが、現在では似たタイプの調味料がいくつか売られています。ウェイパーとどう違うのか、使い方のポイントをまとめました。
・創味シャンタンDX
2015年4月までのウェイパーの味を引き継いだのがこの創味シャンタンDX。味も使い方もウェイパーと一緒です。500g、250g、チューブタイプの3つのサイズから選べます。慣れ親しんだ昔ながらのウェイパーの味を求めるならおすすめです。
・味玉(ウェイユー)
赤い缶入りという見た目も、名前もウェイパーにそっくりなウェイユー。実際に、ウェイパーと間違って買ってしまう人も多いのだそう。
【ウェイユーの原材料】
食塩、動植物油脂、鶏エキス、豚エキス、澱粉分解物、野菜エキス、香辛料、調味料(アミノ酸等)
http://www2.youki.co.jp/goods/61
(youkiオンラインショップより引用)
原材料を見ても、ウェイパーとほとんど一緒ですね。味にも大きな違いはないようです。
ウェイユーを作っているyouki(ユウキ)という会社は、無添加の中華だし製品を多数展開しています。ウェイユーも化学調味料無添加ですので、ウェイパーと似たような味でより体にいいものを使いたい人に人気のようです。また150g、300gと小さめの缶のため、ウェイパーだと使い切れない、一人暮らしで少量がいいという人にもおすすめです。
・香味ペースト
日本ではおなじみにCookDo(クックドゥ)から出ているチューブ型の製品で、ノーマルタイプのほかにうま辛味、オイスター醤油味の3種類があります。ノーマルタイプはウェイパーと比べると、鍋で炒めたときのような香ばしい風味が強いです。「こがしにんにく油」というキャッチコピーがついているだけありますね。
ウェイパーと創味シャンタンからもチューブ型が発売されていますので、どれを選ぶかはお好み次第ということになります。
・鶏ガラスープの素で代用も
ウェイパーを切らしていたり近場で手に入らない場合、手軽に中華風の味をつけるには鶏ガラスープが適しています。ウェイパーと比べると風味やコクの点で劣るものの、これをベースに他の調味料で味を整えれば問題なく使えます。
味の濃いウェイパーと比べて使う量は多めで、だいたいウェイパー大さじ1の分量に対してガラスープは大さじ2ぐらい使うといいようです。
ウェイパーについて理解した上で使っていこう
プロ用として世に出てから、今や一般家庭にまで普及したウェイパー。中華風調味料として欠かせない存在となりました。塩分や化学調味料など、気になる部分はありますが、それ自体が危険なわけではありません。どんな便利なものでも、使い方を誤ってしまっては逆効果。◯◯だから安全だ、◯◯だから危険だと一概に言い切ってしまうのはとても危険なことです。いい面も悪い面も理解した上で、正しく使うのがもっともよい利用方法ではないでしょうか。
適量を守りながら、手軽に作るためのサポートとして、これからもウェイパーで美味しい料理作りを楽しんでいきましょう。