塩麹より美味しくて効果あり!料理の幅が広がる醤油麹の作り方
以前、塩麹がブームになりましたが、その後じわじわと広まっているのが「醤油麹」です。塩麹と同じように使える上に、うまみ成分が塩麹の10倍もあり、減塩や美容に効果的と人気を集めています。作り方も簡単で、つけるだけ・かけるだけでも料理をぐんと美味しくしてくれます。今回は、そんな醤油麹の嬉しい効果や作り方をまとめてご紹介!
この記事の目次
醤油麹ってどんなもの?
醤油麹とは、醤油に米麹を浸けて発酵・熟成させて作られる調味料のこと。単純に塩麹の醤油版と考えてもいいでしょう。「麹」はなじみがありませんが、↓こんなもの。蒸した米に麹菌を繁殖させたものです。
うまみ成分であるグルタミンが塩麹の10倍あると言われており、今注目を浴びている調味料のひとつです。
醤油麹の成分
日本で古くから使われている醤油。醤油は大豆と小麦を麹菌で発酵させて作られる発酵食品です。独特の香気成分を持っており、その種類はなんと300以上にものぼります。醤油は「甘み・酸味・塩味・苦味・旨味」の5つのバランスが整った調味料であり、食材の保存性を高めてうまみを引き出してくれるほか、抗酸化作用や食欲増進効果もある有能な調味料なのです。
20種類ほどのアミノ酸・ビタミン群・ミネラルを含んでいる醤油に、さらに麹を加えて発酵させたものが醤油麹です。醤油の元である小麦や豆のうまみに米麹のうまみが加わることで、さらに奥行きのある味わいが生まれます。また、麹には酵素が豊富に含まれているため、健康や美容にも効果が期待できます。
醤油麹が料理を美味しくする秘密は?
醤油麹はそのまま食べることもできますが(ご飯に乗せるとてもおいしいです!)料理に使うのもおすすめ。いろいろとうれしい効果を得ることができるのです!
■お肉をやわらかくする効果
麹には何十種類もの酵素が含まれており、食材のでんぷんやたんぱく質を分解し、肉や魚を柔らかくしてくれます。食感がよくなるだけでなく、消化がよくなり、栄養成分が体内に吸収されやすくなる効果もあります。
■うまみをアップさせる
麹に含まれる豊富な酵素が食材の細胞を分解すると、やがて糖類やアミノ酸に変わります。これらの旨味成分が、食材にコクやうまみなど奥行きのある味を出してくれるのです。
醤油麹の嬉しい健康効果とは
醤油麹は料理にうまみを足すだけでなく、その豊富な栄養素から美容や健康にも効果的です。詳しく見ていきましょう。
■アレルギーの症状改善
人間がアレルギーを起こすのは、免疫力が低下して免疫機能のバランスが崩れてしまうから。醤油麹にはオリゴ糖が豊富に含まれており、腸内の善玉菌を増やして腸内環境が整うことで免疫力がアップし、アレルギー症状の改善が期待できます。
■疲労回復効果
醤油に含まれる香気成分や、麹に含まれるビタミンB群・ナイアシン・パトテン酸は、たんぱく質や糖分をエネルギーに変え疲労回復を促します。ミネラルも10種類以上含まれており、優れたバランスで摂取することが可能です。
■デトックス効果
麹は発酵食品であり、乳酸菌がたくさん生きています。醤油麹に含まれる乳酸菌が腸内環境を改善してくれるため、便秘の解消に効果的です。
■食欲増進・リラックス効果
醤油に含まれる香気成分には、食欲増進やリラックス効果があります。さらに食品の保存性を高めるほか、消臭・抗酸化作用も持っています。
■代謝を改善する
麹の発酵が進むと、代謝に関わるビタミンB群が作られます。また、麹に含まれる酵素には食材の栄養素を倍増させる働きがあります。醤油麹に含まれるビタミンBやミネラルが増え代謝が上がることで血流がよくなり、ダイエットになるうえ美肌やアンチエイジングにも効果的です。
■美容効果
麹は代謝の過程でビタミンB群やナイアシン、ビオチンなど多くのビタミン類を作り出します。そのため肌の代謝がよくなって美容にも効果抜群です。また、麹に含まれるコウジ酸はメラニンの生成を抑える作用があり、シミの予防にもなります。
■消化をサポートしてくれる
麹にはアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼなどといった30種類以上の酵素が含まれています。酵素は吸収した栄養分をエネルギーに変え、植物の栄養を吸収して消化を助けるはたらきがあります。酵素は組み合わせることで効果が高まるため、酵素の宝庫である麹は消化吸収に優れた成分なのです。
■減塩効果
醤油麹は通常の醤油と比べてうまみ成分が強く、醤油の代わりに使うだけで減塩効果が見込めます。通常の濃口醤油の塩分が15%あるのに対し、醤油麹は8%と半分程度です。コレステロールを下げるというデータもあり、高血圧で塩分が気になるお母さんやお父さんに勧めてみてもいいですね。
醤油麹と塩麹の違いって?
普段醤油麹よりもよく耳にするのが、塩麹ではないでしょうか。このふたつは、どちらも麹から作られる発酵食品という点では同じものです。味や使い方の違いについて見ていきましょう。
■味の違い
塩麹の特徴は、普通の塩と比べてうまみがあるため、塩の代わりに塩麹を使うことで減塩効果が得られます。また、味にもまろやかさが出て料理にも使いやすくなります。麹の味や風味は、塩麹のほうが強く感じられます。
醤油麹の場合、塩麹に大豆のうまみが加わることが特徴です。麹は米由来のうまみですが、醤油には大豆由来のうまみがあります。うまみの元であるアミノ酸にはたくさんの種類があるため、多く組み合わせるほど複雑で奥行きのある味わいが生まれるのです。また、麹の香りが苦手な場合は、塩麹よりも醤油麹のほうが使いやすいかもしれません。
■使い方の違い
塩麹は食材を漬け込むことで、味をまろやかにして美味しくする効果があります。醤油麹の場合は食材漬け込むことはもちろん、そのまま食材につけたり、かけたりとタレがわりに使えるのが特徴です。普段料理に使っている醤油を、そのまま醤油麹に置き換えるだけなので手軽ですね。
醤油麹の作り方
醤油麹はスーパーでも手に入りますが、自分で作ることもできます。作り方は非常にシンプルで、醤油と米麹を混ぜるだけでできてしまいます。醤油には薄口と濃口がありますが、醤油麹には濃口を使いましょう。米麹はスーパーの冷蔵コーナーなどで手に入りますが、酒蔵で通販している場合も多いです。
■米麹の種類
米麹には生麹と乾燥麹の2種類があります。生麹は麹の菌の力が強いのが魅力ですが、保存性は悪く日持ちがききません。麹の味にこだわる人や、何度も醤油麹を作った経験があり本格的な味を求める人には、生麹がおすすめです。
一方の乾燥麹は生麹の水分を飛ばしたもので、常温で何ヶ月も保存がきくところが大きな魅力です。ただし菌の力は生麹には劣ります。比較的手に入りやすく、初心者が手軽に楽しむのにおすすめです。
■自家製醤油麹の作り方
・醤油 200〜300cc
・米麹 200g
基本的には同量の醤油と米麹をよく混ぜ、1週間熟成させれば完成です。乾燥麹を使う場合は、よくほぐしてから醤油を加えましょう。生麹を使う場合は醤油を吸うため、翌日の減り方を見て50〜100cc加え、麹と醤油がひたひたになるように調整します。
熟成は冷蔵庫ではなく常温で行います。夏場は5日〜1週間程度でできますが、冬場は10日ほどかかることも。熟成が進むとだんだんととろみが出て、麹の香りがしてきます。麹の芯が手でつぶせるぐらいの柔らかさになれば完成です。
■醤油麹を作る際のポイント
麹の発酵を均等に行き渡らせるために、1日1回はかき混ぜて空気を送り込むようにしましょう。混ぜる際は、下から大きくまんべんなく混ぜるようにします。出来上がるまでは混ぜやすい大きめの容器を使うといいでしょう。
■醤油麹を保存する際のポイント
醤油麹を入れるのはタッパーでもいいですが、煮沸消毒した瓶だと長期保存がきくのでおすすめです。手づくりした醤油麹は、冷蔵庫で3ヶ月ほど保存することができます。雑菌やカビには充分注意してください。
醤油麹作りにおすすめの材料
醤油麹に使うのは非常にシンプルな材料なので、醤油や麹にこだわって選んでみてはいかがでしょうか。全国で作られているこだわりの銘柄をピックアップしてご紹介します。1リットルで1000円近くする醤油ってガソリンより高いってことですよね!そう考えると高級・・・・・・!
■かめびし 三年醸造醤油
日本一高いというお醤油です。確かに1リットル1000円を軽く超えています。一体どんな味がするのでしょう。かめびしは創業宝暦三年(1753)。それ以来醤油造りひとすじ。昔ながらの「むしろ麹法」を守り続けています。この機会にチャレンジしてみましょう。
■ヤマヒサ 杉樽仕込頑固なこだわり醤油こい口 720ml/¥1,095〜
香川県小豆島で、400年もの伝統を受け継ぐ醤油作りをしているヤマヒサ。国内産の農薬不使用栽培された大豆と小麦を使い、1年半以上じっくり熟成されています。昔ながらの杉の大樽仕込みで、火入れをしていないため酵母が生きた自然発酵の醤油です。
■フンドーキン 八本木樽醤油 720ml/¥1,080〜
大分県にあるフンドーキン醤油株式会社の製品。樹齢400年のヒバで作られた木樽で、3年間もの間熟成された醤油です。国内産大豆・小麦で作られています。
■播州こうじや 生麹 1kg/¥1,000〜
兵庫県で手づくり味噌や麹の製造販売をしている播州こうじやでは、生麹の1kg単位での量り売り通販を行っています。昔ながらの手づくりにこだわっており高い活性が特徴で、3日以内に使い切ることが原則です。日持ちする乾燥タイプもあります。
■伊勢惣 みやここうじ 1kg/¥1,498〜
東京都で麹や甘酒を製造販売する伊勢惣は、乾燥麹であるみやここうじが有名です。低温乾燥させることで保存性を、長毛菌を使用することで効果を高めています。
醤油麹の使い方
醤油麹はそのままかける・和えるだけでも使えるほか、漬けたりスイーツに使ったりすることもできます。バリエーション豊かな醤油麹のレシピをご紹介しましょう。
■かけて使う
冷奴やお刺身、納豆、卵かけご飯など、普段醤油を使っている料理に醤油麹を使ってみましょう。使う量はふだんより控えめで大丈夫です。塩分は控えめになり、旨みはアップといいことづくめです。
また、焼き魚に添えるのもおすすめ。醤油をかけるよりもおしゃれで、無駄なく食べきることができます。
■漬物にする
きゅうりや大根を醤油麹と一緒にビニール袋に入れ、よくもんでから置いておけば簡単な漬物の出来上がりです。数時間〜半日程度で食べられます。甘めの味つけが好きな人は、砂糖を加えてもいいでしょう。
■醤油麹のドレッシング
【材料】
・醤油麹 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・酢 大さじ1
・はちみつ 適量
材料を混ぜたら、レタス・キャベツ・トマト・ブロッコリー・きのこ類など好きな野菜にかけて使いましょう。
■ブロッコリーのごま和え
【材料】
・ブロッコリー 1/2房
・白すりごま 大さじ1
・醤油麹 小さじ1
塩を入れて茹でたブロッコリーに、すりごまと醤油麹を和えるだけ。甘ったるいごま和えが苦手な人におすすめです。
■まぐろの漬け丼
【材料】
・まぐろ 200g
・醤油麹 20g
・大葉、わさび、海苔 適量
【作り方】
1、まぐろをサクのままざるにのせ、全体に熱湯をかけたら冷水にとる(霜降り)。
2、まぐろに醤油麹を塗ってキッチンペーパーで包み、ラップをしたら冷蔵庫で半日〜1日おく。
3、キッチンペーパーで水分をとり、刺身に切ってご飯と共に丼に盛る。あしらいはお好みで。
お安いまぐろでも、醤油麹に浸けることで旨みとコクがぐんとアップします。
■鶏のから揚げ
【材料】
・鶏もも肉 1枚
・醤油麹 大さじ2
・にんにく、しょうがすりおろし 5g
・片栗粉、揚げ油 適量
【作り方】
1、鶏もも肉を一口大に切り、醤油麹とにんにく・しょうがを混ぜたものに30分浸ける。
2、片栗粉を入れて混ぜたら、180℃の油で揚げる。
醤油麹は肉料理に特におすすめ。醤油麹に漬け込むことで肉がやわらかく、ジューシーに仕上がります。
■生姜焼き
【材料】
・豚肉(薄切り) 150g
・玉ねぎ 1/2個
★しょうがすりおろし 5g
★醤油麹 大さじ2
★みりん 大さじ1
★酒 大さじ1
【作り方】
1、★印を混ぜたものに豚肉を漬け、30分置いておく。
2、玉ねぎを炒め、透き通ってきたら漬け汁ごと肉を入れて、焦げないように炒める。
醤油麹を使っていると焦げやすいため、炒めるときには注意してください。冷めてもおいしいのでお弁当にもおすすめです。
■みたらしだんご
【材料】
白玉粉(上新粉) 120g
お湯 100cc
★醤油麹 大さじ2
★みりん 大さじ2
★砂糖 大さじ1
【作り方】
1、白玉粉にお湯を少しずつ入れながら、耳たぶの柔らかさになるまで練る。
2、1を丸め、沸騰したお湯に入れて茹でる。
3、だんごが浮いてきたら引き上げ、ごま油を引いたフライパンで焼き目をつける。
4、★印を混ぜたものを入れてからめる。
醤油麹は和風スイーツにもぴったり。風味のよいみたらしダレのほか、アイスやプリンにかけて食べても相性抜群です。
醤油麹は美味しくて健康にもいい万能調味料!
発酵食品である醤油と麹を組み合わせることで、旨みが何倍にもアップする醤油麹。上手に活用して、美味しく食べながら健康・美容効果を手に入れてみてくださいね。