油を正しく保存して美味しく食べましょう【種類別保存方法】
いつも何気なく使っている油。油の保存方法、考えた事ありますか?
油は高温で加熱し続けたり、日のあたる場所に置いたり、不純物が混じることで劣化します。色も黒っぽくなり、味も悪くなります。体にもよくありません。
毎日使うものだから、なるべく劣化は防ぎたい!油の正しい保存方法をご紹介しましょう。
この記事の目次
油は種類によって保存方法を変えましょう。
油の保存方法をご紹介する前に、知っておきたいのは油の種類。油の基本的な保存方法は同じですが、種類によって最適な方法は違うことがあります。
いつも新鮮で美味しい油を使用するためには、保存方法が重要なのです。
油の種類と保存方法
サラダ油の保存方法
どのご家庭にも常備されている一番ポピュラーな油が「サラダ油」です。炒め物から揚げ物まで何でも幅広く使いますね。でも、あまりサラダに使うイメージはありません。なのにどうしてサラダ油というのでしょうか。
実はこの名前はサラダ油の生まれに関係しています。
サラダ油は1924年に日清製油株式会社(今の日清オイリオ)が「日清サラダ油」を発売したのが一番最初です。当時、日本では油は主に揚げ物に使われていましたが、欧米ではサラダに酢と塩と油をかけて食べることが流行していました。そこにヒントを得て、透明度があり、冷やしても白く濁らない油を開発したのがきっかけです。
ちなみに原料は、大豆油やなたね油などの9種類の植物油。このなかの2つ以上をブレンドしたものがサラダ油です。(正確には「調合サラダ油」という分類になります。”サラダ油”という名前が許されるのは製精度の高い油だけです。)
今では自作のドレッシングなどに使う以外は、フライパンのお供として使われるサラダ油ですが元々は本当はサラダ用の油だったのですね。
さて、サラダ油は容器に入った状態では、見た目にあまり変化がないため、消費期限を意識する人は少ないのではないでしょうか。しかし、容器をよく見ると、ちゃんと消費期限が書いてあります。未開封の状態で約1〜2年が目安のようです。
他の食品に比べれば長い消費期限ですが、消費期限とは未開封の状態で保存した場合の期限です。開封した後は、1~2か月で使い切るのが良いでしょう。サラダ油は揚げ物にも使いますし、内容量が多くなるほど単価は安くなるので、大容量の油を購入して使っている人もいるかもしれません。でも、あまりに大量だとこの開封後1〜2ヶ月で使い切るのは難しいで、適量を買い求める必要がありそうですね。
直射日光を避け、冷暗所に保存しましょう。蛍光灯の光もNG。
それから高温になる場所に置くのもよくありません。ガスコンロのすぐ近くに置いていませんか?劣化の原因になりますので、今すぐ棚にしまいましょうね。それから、きちんとフタをすることも重要。なぜなら、皆さんの嫌いな●●●●が中に入ってしまうこともあるからです!
油は贈答用としても好まれていますので、頂いたまま長期間ねむっている場合もありますね。消費期限が長いので、忘れてしまいそうですが折角の油を美味しいうちにいただきましょう。
消費期限はあくまでおいしく食べられる期間を示したもの。過ぎたら即食べられなくなるわけではありません。サラダ油の場合は、過熱して食べるようにするとよいでしょう。
ちなみに、油の賞味期限は、容器によって定められています。缶タイプでは2年半、瓶では2年、ペットボトルでは1年半です。容器の性質によって、酸化の度合いが異なるためです。油にとって、酸化の影響が高いのがよくわかりますね。
ごま油の保存方法
ごま油はごまを潰して絞り出した(圧搾といいます。)油です。普通、茶色の油をイメージすると思いますが、透明なものもあります。これは、絞る前のごまを焙煎していると茶色に、焙煎していないと透明になります。
焙煎した茶色の方を「ごま油」、焙煎をしていない方を「太白ごま油」と呼びます。
ごまには黒ごまと白ごまがありますが、この色は油の色と関係がありません。違いはあくまで焙煎しているかどうか。茶色が濃いごま油は強めに焙煎しているのです。
ごま油は香りもおいしさの要素。でも、熱を加えると香りが飛んでしまいますので、料理によっては最後に加えるのがよいでしょう。
ごま油は他の食用油よりは酸化に強いのですが、おいしく食べるにはサラダ油と同じく、光、空気、熱を避けるほうがよい油です。
ごま油は小さなパッケージのものもあり、最後に加えるという性質からガスコンロの近くに置いてしまいたくなりますが、これはNG。きちんと光や熱の影響が少ない棚の中にしまいましょう。
オリーブオイルの保存方法
オリーブオイルは不飽和脂肪酸を多く含み、健康志向の方にも好んで使われている油です。
オリーブオイルの品質の判定には「酸度」や「酸価」という基準が使われています。そのため、オリーブオイルは酸化しやすいと思っている方もいるかもしれません。
「酸度」とはIOC(国際オリーブオイル協会です。オリンピックではありません!)で定められた基準で、酸化の度合いを示しています。「酸価」という表現は日本のJAS法で定められた基準で、詳しい説明は省きますが、どちらも酸化の度合いを表しており、低い方が酸化していない良いオイルということになります。オリーブオイルの原料であるオリーブの実は、木から収穫した瞬間から酸化が始まります。なので、なるべく早く絞り、オイルにしたほうがよいのです。新鮮な状態で絞れば酸化が抑えられる=新鮮なオイルになるという図式なのです。
こんな事情から、オリーブオイルは酸化しやすいと思われることもあるかもしれませんが、実はオイルになってからは逆で、酸化しにくい油なのです。
過熱にも強いです。沸点が210度と高く、大抵の揚げ物に必要な180よりも高いので、熱にも強いと言えるのです。
そんな加熱や酸化に強いオリーブオイル、他の油と同じく保管場所は冷暗所ですが、冷蔵庫に入れてはいけません。10度以下になると、脂肪酸の成分の一部が固まり、白濁してしまうことがあるからです。白濁した場合、湯煎したり、10度以上の場所においておけば元に戻りますが、白濁→元に戻す→白濁を繰り返すと、風味が落ちてしまいます。ですので、冷蔵庫はNG。常温保存の場合でも、あまりに低温になりすぎない場所を選びましょう。
エゴマ油、亜麻仁油の保存方法
最近人気の油、エゴマ油とあまに油。不飽和脂肪酸のオメガ3系脂肪酸、α-リノレン酸を含むということで健康志向の方に支持されています。結構なお値段がしますが、一時は在庫不足に陥った程の人気のオイルです。家にもある!と言う人も多いかもしれません。
エゴマ油もあまに油も熱に弱いのが共通の特徴です。サラダなどに生の状態でかけて使うのが一般的です。
ここまで読んでいただいていたらお気づきかと思いますが、α-リノレン酸は特に熱に弱いのです。ということは、保存方法にも気を使う必要があるということです。折角、栄養素を摂ろうと思っているのに、保管方法を誤っては意味がありません。
保存場所は、冷蔵庫がおすすめです。「酸化防止ボトル」を使っている商品場別ですが、冷蔵庫に保管して、酸化を抑えましょう。
そして、酸化は熱だけでなく空気に触れることによっても進みます。開封後はなるべく早く消費しましょう。開封後1ヶ月以内が目安のようです。一部では、開封して60日が過ぎる頃には、期待しているような健康効果がなくなるという情報もあるくらいです。
価格の高い油だからこそ、お得なときにまとめ買いしたい気持ちはとても理解できますが、
賞味期限以内に消費できる量に抑えておきましょう。
ラードの保存方法
ラードは豚の背油です。背油100%の純製ラードと、牛脂やパーム油など、他の油をブレンドした調整ラードとがあります。バターやマーガリンのような固形の油です。
炒め物をするときにこの油を使えば、非常にコクが出てお店の味のようになります。揚げ物の油に加えるのもおすすめです。一般家庭ではあまり使いませんが、料理好きには知られた油です。
原料が豚の背油だと聞くと、腐りそうなので豚肉などと同じく保存は冷蔵庫で、と考えてしまいがちですが、いざ冷蔵庫にいれてしまうと、使おうとしてもカチカチで使えない!と言うとトラブルに陥ってしまいます。もちろん、常温に戻せば柔らかくなりますし、湯煎するといった方法もあります。
しかし、実はラードは常温保存OKなのです。ラードのパッケージには、直射日光と高温多湿を避ける記載がありますので、それは守った上での話。
ドの融点は35度ですので、常温と言っても温度が上がりすぎる場所はNGです。賞味期限はサラダ油などと比べると短い傾向にありますので、早めに使い切るようにしましょう。もっとも、ラード使いは料理好きが多いでしょうから、心配することもないかもしれませんね。
白絞油の保存方法
あまり目にすることがないかもしれませんが、白絞油という油もあります。これは主に業務用として販売されていることが多い油です。原料は菜種や大豆といった、サラダ油と同じものですが、精製の度合いが異なります。精製というのは脱酸、脱臭、脱色などをして、癖をなくしていく加工です。
サラダ油は上記の通り、生で食べても食べやすいように調整してあります。これに対し、白絞油は過熱専用です。主に、「天ぷら油」「揚げ物油」として使われます。
製精度合いが低いので、色はサラダ油に比べて濃く、黄色っぽい色をしているのが特徴です。
保存方法は、暗い場所で常温保存が一般的です。
揚げ油の保存方法
油の種類別の保存方法はお分かりいただけたかと思いますが、実は一番気になるのが揚げ油の保存方法ではないでしょうか?
一度揚げ物をしただけでは、見た目にもそんなに汚れている印象はありませんが、二度、三度使うとちょっと心配になってきますし、そもそもそんなに何回も使っていいのだろうか、その間はどうやって保存したらよいのだろうか、時々不安になりますよね。どのように保存したらよいのでしょうか。
ここまで見てきたように、油は劣化していきます。劣化した油は味もよくありませんし、健康にもよくありません。ですが、揚げ物一回で使い捨てる必要はありません。なるべく劣化しないように使えば、何回かは使ってOKです。
オイルポットで保存
油は光と熱と空気で酸化します。なので、オイルポットに入れて保存するのがおすすめです。オイルポットに入れておけば、光も熱も防ぐことができます。空気に触れるのも最低限で済みますね。
また、揚げかすをとる網がついているものが多いと思いますが、この網が実は重要な役割を果たしています。揚げかすが残っていると、そこから酸化が始まってしまうのです。ですので、網が重要なのです。オイルポットに移すときは熱いうちに作業をしましょう。熱してある油はさらさらしているので、濾しやすくなるからです。
最近はろ過機構を持った専用のオイルポットも販売されており、保存が楽に出来るような商品もあります。活性炭度フィルターを使用して油を奇麗にしてくれるような、機能性の高いオイルポットもあります。こういったものを活用するのもいいでしょう。間違っても鍋にそのまま保存なんてしないようにして下さいね。
揚げ物ローテーション
油を奇麗な状態で保つという視点に立つと、揚げ物の種類もポイントになります。油が汚れにくい順番でローテーションを組むというのも一つの方法です。素揚げ、てんぷら、フライ、唐揚げ、といったように汚れにくい料理から順に進めていくのです。この方法は揚げかすダメージを最小限にしてくれますから、理にかなっています。
油自体を選ぶ
それから、油自体を選ぶという方法もあります。オリーブオイルやごま油、こめ油など、酸化に強い油を使えば、劣化の心配が和らぎます。
私は熱に強いこめ油を使用しています。お米の油ならではの、おせんべいのようにかちっとした上がり具合になり、揚げ物がべチャっとしてしまうとお困りの方には特におすすめです。炒め油にももちろん使えますので、おすすめですよ。
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揚げ物にオリーブオイルなんて贅沢! という場合は他の油との混合もおすすめ。サラダ油とのハーフ&ハーフでも劣化を抑えることができます。
劣化した油の特徴
さて、ここまで見てきたように、油はなるべく劣化させないで食べるのが基本ですが、万が一劣化すると、どのような状態になるのでしょうか。劣化した油の特徴を知っておけば、使うべきか使わないべきかがわかります。
そもそも、劣化した油は油臭くておいしくありません。食べればすぐにわかりますが、おいしくないものを口にはしたくないですよね。ご安心ください、劣化油は見た目でも充分判断できます。
1、色が濃くなる。
2、焦げ付きやすくなる。
3、熱したとき、 何も入れていないのに煙が出る。
4、細かい泡がたくさん出て消えず、揚げ物の場合、材料が見えなくなる。
5、油が粘り気を増し、トロトロになる。
上記の5つがチェックポイントです。こんな症状が見られる油は、捨てて新しいものと取り替えましょう。
ちなみに、捨てるときは流しにそのまま捨ててはいけません。配管が詰まり、悪臭の原因にもなりますし、環境にもよくありません。固めて捨てるか、新聞紙などに吸わせて捨てましょう。
まとめ
いかがでしたか?あまり腐る印象のない油。保存方法は気にしていなかったかもしれません。しかしこの機会に、少し見直してみて下さい。
特に揚げ油は油の味が料理の味にかなり影響を与えます。正しい保存方法で美味しい揚げ物を食べましょうね。オイルポットがない人は、まずは簡単なものでもよいので購入してみましょう!
正しい保存方法を実践することで、味も美味しく身体にも害のない油を使用したいですね。